ワイヤーロープ点検方法

点検は、ロープの劣化を早期に発見して、事故を防止するための重要な作業です。ロープごと劣化状態を性買うに把握するために、日常点検や定期点検の記録を取ることが大切です。
日常点検・定期点検表

ワイヤロープの点検と廃棄基準

ワイヤを使用する時は点検を確実に行い、次の劣化が1つでも発見されれば廃棄処分してください。 使用されますと吊り荷の落下事故等の危険があります。(労働安全衛生法 クレーン等安全規制による)
  1. 時期・日常点検(作業前)、定期点検(月次点検)および必要時
  2. 内容・断線、磨耗、腐食、形崩れ、端末金具及び取付部

点検箇所 【全 体 】

点検項目 点検方法 廃棄基準
キンク プラスキンク(よりの縮まる方向のキンク) やマイナスキンク(よりの戻る方向のキンク) の有無を点検する。 局部的によりが詰まったり、戻ったりして、 キンクを発生したもの。
キングによる強度低下率
つぶれ偏平 局部的に押しつぶされた部分がないか点検する。
  • 局部的な押しつぶしによる偏平があるもの。
  • ノギスで短径dmaxおよび直径d-maxを測定したとき、d-max/dmin≧1.5となったもの。
【参考】つぶれによる強度低下率 つぶれによる強度低下率
  1. 程度が軽い場合は、殆ど無い。
  2. 上記廃棄基準に達した場合は 20~40%
腐食サビ 表面の腐食の有無を点検する。あれば布地で拭いて取れる薄いサビか、表面に凸凹が生じているかを調査する。内部はスパイキ等でストランドを持ち上げて調査する。 素線表面にピッティングが発生して、あばた状になったもの。 内部腐食によって素線が縮んだもの。
【参考】腐食(赤錆)による強度低下率
  1. 程度が軽い場合は、10~20%<
  2. 著しい場合は、40%以上
磨耗 全長、全周にわたり磨耗の状況を点検する 素線と素線の隙間がなくなったもの。 (右表の減少率は、公称径に対する値)
うねり ねりの有無を調査する。 著しくうねっているもの。または局部的なうねりの幅(d1)がロープ径(d)の4/3以上になったもの。
ロープのうねり
ストランド ストランドの落込みや浮きが無いか点検する。 ストランドの落込み、飛び出し、かご状のものがあるもの。
きず 全長、全周にわたりきずの有無を点検する。 有害な欠陥が認められるもの。
その他

心鋼のはみ出し、曲がり、素線の飛び出し、テンパーカラー等の有無の点検。

心鋼のはみ出し、曲がり、テンパーカラーのあるもの
断線 全長、全周にわたりきずの有無を点検する。ある場合は、山切れ谷切れの状況を入念に調査し、断線本数を数える。
ワイヤー断線図
C:クラウン断線(ロープ外接円と接する部分 「山断線」の断線)
N:ニップ断線(ストランド相互が接する部分 「他に断線」の断線)

「クラウン断線(山切れ)の場合」ロープ径(d)の6倍(約1ピッチ)の範囲内の断線を数え、使用されているワイヤロープの構成を確認して、下表の断線 数以上あるもの。
可視断線数点検範囲
「ニップ断線(谷切れ)の場合」 1本でもあるもの

点検箇所 【加工部分・アイスプライス・アイ圧縮止め】

点検項目 点検方法 廃棄基準
形くずれ アイ部分にストランドの緩み等の形くずれや偏平、ロープのずれ等がないかを点検する。

ロープを曲げたりしてアイ部分やスリーブ 付根部分の断線の有無を点検する。
  • アイ頂点部で著しく心鋼の飛び出したもの
  • アイ頂点部で著しくつぶれを生じたもの
  • アイ部分で、ストランドの緩みがあるもの


加工していない部分の可視断線数に準じる。
断線 アイスプライス:ストランドの抜け出しの兆 候がないか点検する。 アイ圧縮止:片端に凹みが生じたり、抜 け出しの有無を点検する。抜け出しの点検 は目視、マーキング等による。
  • 差し終り部でストランドの抜け出しがあるもの
  • 片端に凹み、抜け出しのあるもの。
抜け出し スリーブに変形、つぶれ、亀裂および割れ等が発生していないか点検する。 スリーブの変形、つぶれ、亀裂、割れ等があるもの。
スリーブの変形 スリーブの磨耗状況を調査する。 スリーブが磨耗して、元の径の95%以下になったもの。
スリーブの摩耗 腐食、キズ等がないか点検する。 著しい腐食、キズが認められるもの。

点検箇所 【付属金具】

点検項目 点検方法 廃棄基準
形くずれ 変形、キズ、亀裂、磨耗および腐食等が ないか、あればその程度を点検する。 ●曲がり、ねじれ、ゆがみ、当たりキズ、 切り欠きキズ、亀裂が認められるもの。
●磨耗量が元の寸法の10%を超えるもの。
●全体に腐食、または局部的に著しい腐食
があるもの。

廃棄基準

上記表を参照に点検し↓の写真のような状態のロープは廃棄基準に値します。 ワイヤーロープ廃棄基準

点検箇所

ロープは、断線の有無・摩擦の程度・腐食の程度・グリースの状態・形くずれの有無・ロープ端末部の状況などにつき、外部だけではなく内部も含めた点検を行ってください。点検は、「クレーン等安全規則や「日本クレーン協会規格」など法的に決められています。
ワイヤーロープ点検箇所
ドラムに巻かれた部分・シープを通過する部分・エコライザー部分(エコライザープは点検しにくい場所にある事が多いが、特に損傷が発生しやすいので、入念に点検することが必要です。)アイ部分・編み込み部分・リング・シンプル・スリーブ・端末固定部など
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