ワイヤーロープ安全荷重

●ワイヤーロープの安全荷重とは
ワイヤーロープの構造、吊り方や太さによってそれぞれ違う、そのワイヤーロープが安全に品物を吊れる荷重のことです。
●安全荷重の変更(平成14年8月)
厚生労働省安全衛生部編(ー社)日本クレーン協会発行(平成12年8月)の「玉掛け作業の安全に係るガイドラインの解説」に基き、2本4点あだ巻きつり及び4本4点つりは、荷重の均等がし難いため、4点つり作業でも3本つりとして安全荷重を算出するように変更しました。
●玉掛索(ワイヤロープスリング)の条件
玉掛索には、クレーン等安全規則第219条によって加工されたもの以外の使用が禁止されています。
●玉掛索製作上の要件
クレーン等安全規則第219条では、『アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後、それぞれのストランドの素線の半数の素線を切り、残された素線をさらに2回以上編み込むものとする。』と定められていて、また同条の解説では、『アイスプライスの編み込みは、十分な技能及び経験を有する者に行わせることが必要である。』と定められています。 (国家検定ロープ加工技能士の製作した玉掛索にはラベルが添付されていますので、安心してご使用いただけます。)
ロープ加工技能士ラベル
ロープ加工技能士のラベル
ロープ加工製品にはこのような全日本ロープ加工組合連合会作製の黄色ラベルが付いており、加工者の技能士番号(国家検定の合格者に与えられる)が記されています。 このラベルが付いた製品は、ロープ加工の技能を国が検定し証明しています。 注)アイスプライス加工した玉掛索には、ロープ加工技能士が製作したことを証明する、技能士ラベルのついた製品を御使用ください。

吊り方ごと(ページ下部の玉掛索の安全荷重をご確認ください)に、また、ワイヤーロープの構造として、一般的な6X24o/oA種、柔かくて使いやすく主に太物用の6X37o/oA種、硬いが強度のある鋼心IWRC6XFi(29)o/oB種の3種類に対して、それぞれに安全荷重表を下記に表記します。


6×24O/O A種安全荷重(安全係数:6)

6×24O/O A種安全荷重(安全係数:6)
6
0.600
0.570
0.510
0.420
0.840
0.750
0.630
1.80
8
1.07
1.02
0.912
0.751
1.50
1.34
1.12
3.22
9
1.35
1.28
1.15
0.949
1.89
1.69
1.42
4.06
10
1.67
1.59
1.42
1.17
2.34
2.09
1.75
5.02
12
2.40
2.28
2.04
1.68
3.36
3.00
2.52
7.24
14
3.28
3.11
2.78
2.29
4.59
4.10
3.44
9.85
16
4.28
4.06
3.63
2.99
5.99
5.35
4.49
12.8
18
5.42
5.14
4.60
3.79
7.58
6.77
5.69
16.3
20
6.68
6.34
5.67
4.67
9.35
8.35
7.01
20.0
22
8.12
7.71
6.90
5.68
11.3
10.1
8.52
24.3
24
9.64
9.15
8.19
6.74
13.4
12.0
10.1
28.9
26
11.3
10.7
9.60
7.91
15.8
14.1
11.8
33.9
28
13.1
12.4
11.1
9.19
18.3
16.4
13.7
39.4
30
15.0
14.3
12.8
10.5
21.1
18.8
15.8
45.2
32
17.1
16.3
14.5
12.0
24.0
21.4
18.0
51.4
36
21.6
20.5
18.3
15.1
30.2
27.0
22.6
65.1
40
26.8
25.4
22.7
18.7
37.5
33.5
28.1
80.4
2本4点半掛けつりの場合の安全荷重:(2本2点つりの場合の安全荷重)×2

6×37O/O A種安全荷重(安全係数:6)

6×37O/O A種安全荷重
6
0.648
0.615
0.550
0.453
0.907
0.810
0.680
1.94
8
1.15
1.09
0.980
0.807
1.61
1.44
1.21
3.46
9
1.46
1.38
1.24
1.02
2.04
1.82
1.53
4.38
10
1.80
1.71
1.53
1.26
2.52
2.25
1.89
5.41
12
2.60
2.47
2.21
1.82
3.64
3.25
2.73
7.80
14
3.52
3.34
2.99
2.46
4.92
4.40
3.69
10.6
16
4.62
4.38
3.92
3.23
6.46
5.77
4.85
13.8
18
5.84
5.54
4.96
4.08
8.17
7.30
6.13
17.5
20
7.20
6.84
6.12
5.04
10.0
9.00
7.56
21.6
22
8.72
8.28
7.41
6.10
12.2
10.9
9.15
26.2
24
10.4
9.88
8.84
7.28
14.5
13.0
10.9
31.2
26
12.2
11.5
10.3
8.54
17.0
15.2
12.8
36.6
28
14.1
13.4
12.0
9.89
19.7
17.6
14.8
42.4
30
16.2
15.4
13.8
11.3
22.7
20.3
17.0
48.7
32
18.4
17.5
15.7
12.9
25.8
23.1
19.4
55.4
36
23.2
22.0
19.7
16.2
32.4
29.0
24.3
70.1
40
28.8
27.3
24.4
20.1
40.3
36.0
30.2
86.6
44
35.0
33.2
29.7
24.5
49.0
43.7
36.7
105
48
41.4
39.3
35.1
28.9
57.9
51.7
43.4
124
52
48.8
46.3
41.4
34.1
68.3
61.0
51.2
146
56
56.6
53.7
48.1
39.6
79.2
70.7
59.4
170
60
64.8
61.5
55.0
45.3
90.7
81.0
68.0
194
2本4点半掛けつりの場合の安全荷重:(2本2点つりの場合の安全荷重)×2

IWRC6×Fi(29)O/O B種安全荷重(安全係数:6)

IWRC6×Fi(29)O/O B種安全荷重
10
2.30
2.18
1.95
1.61
3.22
2.87
2.41
6.90
11.2
2.88
2.73
2.44
2.01
4.03
3.60
3.02
8.65
12.5
3.60
3.42
3.06
2.52
5.04
4.50
3.78
10.8
14
4.52
4.29
3.84
3.16
6.32
5.65
4.74
13.5
16
5.88
5.58
4.99
4.11
8.23
7.35
6.17
17.6
18
7.44
7.06
6.32
5.20
10.4
9.30
7.81
22.3
20
9.20
8.74
7.82
6.44
12.8
11.5
9.66
27.6
22.4
11.5
10.9
9.80
8.07
16.1
14.4
12.1
34.6
25
14.3
13.6
12.2
10.0
20.1
17.9
15.0
43.1
28
18.0
17.1
15.3
12.6
25.2
22.5
18.9
54.1
30
20.6
19.5
17.5
14.4
28.8
25.7
21.6
62.1
31.5
22.8
21.6
19.3
15.9
31.9
28.5
23.9
68.5
33.5
25.8
24.5
21.9
18.0
36.1
32.2
27.0
77.4
35.5
28.8
27.3
24.4
20.1
40.3
36.0
30.2
86.9
37.5
32.2
30.5
27.3
22.5
45.0
40.2
33.8
97.0
40
36.6
34.7
31.1
25.6
51.2
45.7
38.4
110
42.5
41.4
39.3
35.1
28.9
57.9
51.7
43.4
124
45
46.4
44.0
39.4
32.4
64.9
58.0
48.7
139
47.5
52.0
49.4
44.2
36.4
72.8
65.0
54.6
156
50
57.4
54.5
48.7
40.1
80.3
71.7
60.2
172
53
64.4
61.1
54.7
45.0
90.1
80.5
67.6
193
56
72.0
68.4
61.2
50.4
100
90.0
75.6
216
60
82.8
78.6
70.3
57.9
115
103
86.9
248
2本4点半掛けつりの場合の安全荷重:(2本2点つりの場合の安全荷重)×2

玉掛索使用上の注意(クレーン等安全規則より)

1.安全係数は6以上とすること。

安全荷重=ワイヤロープの破断カ/安全係数

安全係数とは、ワイヤロープ等の切断荷重(ロープ規格破断荷重)と、使用するときにかかる最大荷重との比のことです。

安全荷重計算方法
2.次の何れかに該当するワイヤロープを玉掛用具として使用しないこと。

A. 1よりの間において、素線(フィラ線を除く)の数の10%以上の素線が破断しているもの。

ワイヤーロープ 断線数 ワイヤーロープ 断線数
6×19 12 6×Fi(25) 12
6×24 15 6×Fi(29) 14
6×37 23 6×WS(31) 19

B. 直径の減少が公称径の7%を超えるもの。

公称径mm
廃棄径mm
公称径mm
廃棄径mm
6
5.5
28
26.0
8
7.4
30
27.9
9
8.3
32
29.7
10
9.3
34
31.6
12
11.1
36
33.4
14
13.0
38
35.3
16
14.8
40
37.2
18
16.7
42
39.0
20
18.6
44
40.9
22
20.4
46
42.7
24
22.3
48
44.6
26
24.1
50
46.5

C. キンクしたもの。
D. 著しい型崩れ(つぶれ、浮きなど)のあるもの。
E. 著しい腐食(赤さび、内部腐食、虫食いなど)のあるもの。


玉掛索の安全荷重

1. 安全荷重(通常玉掛索)

W=安全荷重 B=ロープ破断力 θ=つり角度 K=張力増加係数

くくりつり かご手つり(1) かご手つり(2)
通常玉掛索
くくりつり
矢印部での強度低下25%
をみる
W=(B÷6)×0.75
かご手つり
W=(B÷6)×2
かご手つり
W=(B÷6)×(2÷K)
エンドレス索
くくりつり
矢印部での強度低下25%をみる
W=(B÷6)×2×0.75
かご手つり(1)
フックでの強度低下25%をみる
W=(B÷6)×4×0.75
かご手つり(2)
フックでの強度低下25%をみる
W=(B÷6)×(4×0.75÷K)
2本2点つり
3本3点つり
2本4点
半掛けつり
2本4点
あだ巻きつり
4本4点つり
2本2点つりW=
(B÷6)×(2÷K)
3本3点つりW=
(B÷6)×(3÷K)
2本4点半掛けつりW=
(B÷6)×(4÷K)
2本4点あだ巻きつりW=
(B÷6)×(3÷K)
4本4点つりW=
(B÷6)×(3÷K)

玉掛索使用に関する注意は、別ページ「ワイヤー加工製品取扱注意」を参照下さい。


つり角度について

玉掛索つり角度
つり角度の増加によって玉掛索に掛かる張力は増加する。この張力の増加割合を張力増加係数という。つり角度θ=0°のときの張力を1とすれば、張力増加係数は、下表のようになる。
実作業では60°以内が望ましい。つり角度 θの大略を知るにはつり荷の幅をA、フックからロープの長さをL、フックから荷までの垂直の高さをHとすると、AとL及びHの関係は次のようになる。
玉掛索吊り角度寸法
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